EPISODE 03

楽月工場を建設した地
鳥取の変化

2016. 07. 08

グッスマ初の国内フィギュア工場・楽月工場は、鳥取県倉吉市に建設されました。
倉吉駅では、楽月工場の第一弾商品となった「ねんどろいど 桜ミク Bloomed in Japan」を大胆にアピールしたこともあります。

こうした地方活性も、工場の特性と地域力を活かした新しい取り組みだといえます。
では、地域側は楽月工場、そしてグッスマをどのように捉えているのか。グッスマ創立15周年を記念し、鳥取県知事の平井伸治さんに直接お話を伺いました。

鳥取県知事 平井伸治さんへのインタビュー

県知事「鳥取で、伝統と最先端の化学反応が起き始めています」

─知事から見て、楽月工場竣工からどのような変化が起こってきましたか?

平井知事
やはりですね、これからの伸びる産業は何かなと考えると、クールジャパンの日本の武器として、フィギュアの世界は成長産業の一つではないかと思うのです。また、こうしたフィギュアを日本で生産し世界へ出して行くこと、それはまた観光客を呼び込んだり、日本のアニメですとか色々なポップカルチャーの人気にも繋がるわけでありまして、良い循環を生んでいく、そのリアルなものがフィギュアじゃないかなと思うんですね。

私たちとしても漫画・アニメを盛り立てようと取組んだ誘致の一環で、安藝社長はじめ皆様のご英断をいただき、鳥取の方で受けさせていただくことになりました。実際に来ていただきますと、我々の持っている物作りの伝統とフィギュアの製作には親和性があると分かりました。

例えばラジオや電化製品を作ったりといった、組立てや型をつくるなどの技術が、実はフィギュアの生産の中でも役立ちうるということ。ですから、不思議なことなんですけど、昔からやっていた日本の物作り産業が中国から生産回帰し、 日本のグッスマさんの工場に舞い戻り、現代のそうした新しい製品製造にも結びつくものがあると初めてわかってきたんですね。今、鳥取では非常に面白い化学反応が起きているんじゃないかなと思っています。

─実際に楽月工場をご覧になった感想はいかがでしたか?

平井知事
まずオープニングの時間からビックリしました。ニコニコ動画にあわせて夜にテープカットをやるなんてことは初めてでございまして、そのあとに生中継があるということで。こう、突き抜けてるんですよね。

こういったようなことが若い方々の心を捉えて、若い方々が就職したい会社となって、地元の方に移住者までやってくるというほどになりました。それからは鳥取の倉吉という地元と結びつきまして、今やもう倉吉はフィギュアあるいはポップカルチャーの町となり、最近では『ひなビタ♪』の倉野川市というバーチャル上の世界と姉妹提携をしてイベントをやったりと、今まででは考えられなかったことがこのラッキー工場、楽月工場の進出以来できてきました。本当に感謝しております。

─楽月工場はロボット工場長を導入し、未来を意識した新しいフィギュア製作の現場を迎えようとしています。こういった動きについて、どのように思われますか?

平井知事
やっぱりフィギュアの世界というのは、いわゆるイマジネーションとリアルが結合した世界なんですよね。工場もそのようにイマジネーションで語られるようなことが実際のラインなり製造過程として生まれてくるのはまた面白い展開になってくるんじゃないのかなと思っています。

当然ながら人間がなさなければならないこと、例えばクリエイティブな思考や判断、設計の段階ですとか、金型の製作や仕組みを作ることなど、従来の人間が持っている技術でやっていくこともあるんでしょうけれど、それが行き着く先にロボットとの共生によって新しい工場の姿ができてくるというのも面白いんじゃないかなと、そんな風に思います。

楽月工場ができましたときに、私はニコニコ動画の中で申し上げたんですね。当時は本社移転が流行りだったものですから、スカイツリーからトットリーへ本社を移してはと(笑)。

今では秋葉原に移られたそうですけれども、実は私は47知事の中で唯一アキバ系といわれる、末広町生まれの知事でございまして、そんなようなことで繋がりもあるかと思いましたね。こう、アキバに飽きれば砂場にすればということで、ぜひ今後もこちらを見ていただければなと思っています。ロボットだけでなく安藝社長もロボット化してこちらに来ていただければ嬉しいなと(笑)。

─お上手ですね(笑)。

平井知事
グッスマさん、反対から読むとマッスグでございまして。ぜひとも真っ直ぐに、これからも上昇気流で頑張っていただきたいなと思います。

─本当にお上手ですね(笑)、本日はありがとうございました。

倉吉市長 石田耕太郎さんへのインタビュー

市長「ロボット工場長にも期待しています」

─楽月工場誘致から約1年半が経ちましたが、これまでを振り返ってみてどのように感じますか?

石田市長
まだ短い期間ではありますが、非常に濃い関係が構築できたのではないかと思っています。昨年の春にはフィギュア博覧会ということで、全国から2万人を超える方に起こしいただきましたし、ふるさと納税にもご協力をいただきました。

オフィシャルショップも市内にオープンしていただきましたし、今年の春には「くらよし桜まつり」のプロデュースにも関わっていただきました。色々なかたちで倉吉の街づくり、地域づくりにご貢献いただいんじゃないかなと、本当に大きな力をいただいたという風に考えております。感謝しています。

─市長から見たグッドスマイルカンパニーという会社はどのようなものでしょうか?

石田市長
実は竣工式の時に随分驚きました。というのは、普通竣工式というのは午前中に式典をやってテープカットをするというかたちが多いんですけど、グッスマさんの場合は夜でしたし、ニコニコ生放送も絡めてトークショーの様な形だったんです。

私も出席させていただきましたが、全国に発信をしていくという手法というか、今の新しい情報発信のスタイルはこういうことなのかと本当に驚いたのがスタートでした。その後も色々な取り組みにご協力いただいたんですが、幕張メッセで開催されたワンダーフェスティバルに出席した時も動員力と若い人たちに対する影響力が大変なものだなと、非常に感心いたしました。

─鳥取県はまんが王国としても有名ですが、こうしたポップカルチャーという視点からの町おこしは県一体での取り組みなんでしょうか?

石田市長
そうですね、まんが王国の取り組みは県全体としての取り組みだと思ってますが、倉吉はどちらかというと古くからの伝統的な街並みが残っていますので、それを活かしたレトロな街づくりというのをやってきました。

その一方で、倉吉の場合は「遥かな町へ」という谷口ジローさんの作品の舞台にもなっておりましたので、そういうものを活かしながら、県の方針とも整合をとっていくという方向でした。

1年半前のグッスマさん進出のおかげで具体的な取り組みに繋がってきた実感があります。グッスマさんの縁でKONAMIさんと提携もでき、『ひなビタ♪』(コナミデジタルエンタテインメントのweb連動型音楽配信企画)の舞台が倉吉に縁があるということがわかって、今年の桜まつりに繋げることもできました。そういう面では県の方向とも一致した動きの中で取り組みができているんじゃないかと思っています。

※『ひなビタ♪』作中の架空都市・倉野川市と倉吉市は姉妹都市関係にある。バーチャル上の架空都市との姉妹都市は日本初。『ひなビタ♪』とコラボした「くらよし桜まつり♪」では、2日間で全国から6,000人の来場があった。

─倉吉市とグッスマの関係はとても良いものになっているように感じますが、市長としては何かビジョンなどはありますか?

石田市長
グッスマさんに進出をしていただいたのが大きなきっかけになっています。サブカルチャーを利用していこうということ、倉吉市の本来の魅力であるレトロを活かしていくということ、この両面を上手くマッチングできたというのが大きかったかなと思っています。特にこれについては地域の皆さんのご協力もあって、グッスマさんのアイディアが活かせたなと思いますし、「クールとレトロ」、この二つを上手く絡ませた街づくりをしていけたらなと思っています。

─「クールとレトロ」というスタイルは今後も継続していくのでしょうか?

石田市長
そうですね。倉吉の新しい魅力として伸ばしていきたいと思っています。

─グッスマの安藝社長は楽月工場にロボットを取り入れ生産性の向上や新しい開発の現場を考えていますが、こういうものについてはどう思われますか?

石田市長
ぜひユニークな取り組みをしていただければと思います(笑)

安藝社長の個性、グッスマの企業風土というのもあるとは思いますが、どんどん新しい取り組みをしていただくことで楽月工場の魅力も増すと思います。楽月工場自体がそういった面で魅力を高めていただければ、楽月工場そのものが観光スポットになって工場見学のようなかたちで観光客にもおいでいただけることにも繋がるんじゃないかなと思ってます。今後の新しい取り組みにも期待しています。

【まとめ】
倉吉市、鳥取県双方にとって楽月工場は大きなインパクトと変化の種火として迎えられていることが分かりました。
ロボット工場長の導入が更なる変化を呼び、次世代のフィギュアのイノベーションが鳥取、倉吉から起こる未来もそう遠くないかもしれません。工場長、頑張れよー!

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